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ニュースの概要
ベトナムでは11月15日から、日本のPTAにあたる保護者代表委員会が、学級費や学校費、活動支援金を集めたり受け取ったり管理したりすることが禁じられます。新しい規則は、この委員会が学校の組織ではなく、法人格も印章も専用の銀行口座も持たないと明記しました。学校施設の整備資金などを集める仲立ちも認められません。保護者が自発的に支援したい場合でも、お金はPTAを通さず、教育支援に関する法令に沿って学校が直接受け取る形に改められます。善意で始まった集金が、いつしか事実上の強制や不透明な会計の温床になった現状に、国として歯止めをかける狙いがあります。
引用元: ベトナム、PTAによる学級費・学校費の徴収と管理を禁止へ(Vietnam.vn)
分析・見解
集金の担い手を断つという、思い切った制度設計
この規則の核心は、金額の上限を決めることではありません。集金という行為そのものをPTAから取り上げた点にあります。多くの国では、学校の費用を巡る問題が起きると、上限額を設けたり使い道の報告を義務づけたりして対処します。ベトナムはそうした調整型の道を選ばず、担い手を変える道を選びました。
理由は想像がつきます。上限を決めても、どの名目で集めるかは委員会側の工夫でいくらでも変えられるからです。学級費、冷房設備費、行事協力金と名前を変えれば、規制の網をすり抜けられます。入り口を一本化するほうが、監督する側にとっては確実です。
法人格のない組織が現金を持つ危うさ
保護者代表委員会は毎年メンバーが入れ替わる任意の集まりです。法人格も印章も口座もないため、お金は誰かの個人口座や現金封筒で動きがちです。担当者が替われば引き継ぎも曖昧になります。
悪意がなくても、会計ミスや使途の食い違いは起きます。たとえば学級費の残金が前年度の担当者の手元に残ったままになる、といった話は、国を問わず珍しくありません。責任の主体がはっきりしない組織に現金を預ける設計そのものが、事故の確率を高めていたと言えます。
日本のPTAが直面してきた課題との重なり
日本でも、2020年代に入ってPTAの任意加入や会費の見直しが各地で進みました。会費を学校が集める給食費のように公会計へ移す動きもあります。方向性は、お金の流れを組織の外に出して透明にするという点で、ベトナムと重なります。
ただし日本は、PTAを残したまま会計だけを整理しようとしています。ベトナムは委員会の役割を、意見の取りまとめや学校との連絡に絞りました。同じ課題に対し、機能を削る道と機能を整える道の二つがあることが分かります。
学校の寄付金受け入れ体制が次の焦点
集金を止めれば、困るのは学校の現場です。エアコンの更新や教材の補充を、これまで保護者の協力金に頼ってきた学校は少なくありません。公的予算が追いつかないまま禁止だけが先行すれば、設備の不足が表面化します。
今後は、学校が法令に沿って寄付を受け、使い道を公開する仕組みを整えられるかが問われます。受け取りの窓口、領収書の発行、年度末の報告までを学校が担えるなら、保護者は安心して支援できるでしょう。逆に事務負担が教員に回れば、授業準備の時間を削ることになりかねません。制度の成否は、集金を禁じる条文よりも、この受け皿づくりにかかっています。
ビジネスへの影響
会費や協力金を集める組織は、お金の流れを見直す好機
学校に限らず、町内会、同窓会、業界団体、社内の親睦会なども、任意団体が現金を預かる構図は同じです。口座が個人名義になっていないか、担当交代時に残高と帳簿を確認しているか、点検してみてください。
実務では、団体名義の口座を作る、集金を会計システムやキャッシュレスに移す、年に一度は第三者が帳簿を確認する、といった対策が現実的です。小さな団体ほど手間を惜しみがちですが、トラブルが起きたときの信頼回復の費用は、事前の整備よりずっと高くつきます。
ベトナムで事業をする企業が押さえるべき実務
ベトナムの学校や保護者向けに教材、制服、教育アプリなどを販売する企業は、販売や協賛の窓口に注意が必要です。これまでPTA経由で一括購入や寄付を進めていたなら、11月15日以降は同じやり方が通用しない可能性があります。
協賛や寄贈は、学校との直接契約や、法令に沿った正式な受け入れ手続きに切り替えるのが安全です。現地の弁護士や教育機関に、手続きの様式と必要書類を早めに確認しておいてください。
善意の支援を続けるために、窓口を一本化する発想
今回の動きから学べるのは、善意を守るには仕組みが要るという点です。支援したい人がいても、受け取る側の窓口が曖昧では、双方が不安を抱えます。社内の寄付制度や取引先への協賛でも、受付窓口、使途の公開、報告の頻度をあらかじめ決めておくと、支援する側もされる側も動きやすくなります。
